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This Category : Secret Garden

2010.01.09 *Sat

Secret Garden9

「足元にお気をつけください」


先頭を行くGが振返り、後に続くシェリルとジョーカーの足元をランプ
で照らした。

塔の地下は城の地下に比べれば狭いが、それでもかなりの広さがある。
小さい頃に『冒険』と称してよく訪れていたので間取り等はジョーカー
もシェリルも頭に入っているので迷うことはないが、たくさんの部屋に
分かれていて、中には何の部屋だったのかと思うほど怪しげな部屋も多い。

オルドローズの招待状に書かれていたのは『道は地下に開かれる』と
いうヒントだけだったので3人はその広い地下にある部屋を片っ端から
入って『道』を探すはめになっていた。

お城と違って人の手もほとんど入っておらず、くもの巣があちこちに
張られているお世辞にも綺麗とは言えない場所で、しかもそこにあるのは
『城できちんと管理されるに値しないガラクタ』と判断された物ばかりだ。
それが乱雑にあちこちに山の様に積み重ねられ、所々その山が崩れ3人の
足元を危うくしている。


「本当に・・・よくもこれだけガラクタを押し込んだものね・・・」


音楽の才能には恵まれたが、体力と運動神経には恵まれなかったシェリル
が息も絶え絶えになりながら恨めしそうに周囲のガラクタを見渡した。


「シェリル、よそ見してると・・・」
「きゃっ!!」


ジョーカーの注意の途中で案の定シェリルが短い悲鳴をあげて転びかける。
ジョーカーがシェリルの腕を掴み支えたのでガラクタに突っ込むという
大惨事は辛うじて避けられたが、シェリルは腕を掴まれた反動でバランスを
崩し、盛大に尻餅をついた。


「いた~い!」
「大丈夫か?」


ドレスの上からお尻のあたりをさすっているシェリルをジョーカーが
苦笑いで引き上げる。
そんなドレスにパンプスなんかで来るからだぞ・・・と言いかけて
飲み込んだ。
その不用意な言葉が自分を追い込むことは、ついさっき経験済みだ。
だがその言いたいことを察知して、シェリルが恨めしそうにジョーカー
を上目遣いで見上げた。


「ちゃんと足元には注意してたのよ・・・でも何かが足元に転がって
きて引っかかったの」


そう言ってシェリルが転びそうになった理由が、ドレスやパンプスの
せいではないことを証明するために、ドレスをたくしあげると、ランプ
の光で照らしだされた足元にはシェリルの言い分が正しい事を示すように
一本の剣が皮の鞘に納まったままコロンと転がっていた。


「ほら・・・ね?」
「こんなところに・・・剣?」


いくらガラクタを入れるといっても不用意に刃物を放置しておくとは
考えにくい。
ジョーカーの着ている正装にも帯剣ベルトがついているが、そこには
剣は刺さっていない。
元々そこに収まっていた剣さえ、たいした殺傷能力はないのに、この
塔に幽閉される時に取り上げられたくらいなのだ。

ジョーカーがそれを拾い上げ、着いていた埃を丁寧に払いのけると
その埃の下から見覚えるある紋章が現れた。



2010.01.06 *Wed

Secret Garden8

人目を忍び、靴を両手に片方ずつ持ち、お尻から先に部屋へ入ってきた
シェリルの姿に、ジョーカーは思わず目を見開いた。


「ふぅ、見つからないで無事にここまで来れたわ。んもぅ、胸がドキドキ
して途中何度転びそうになったことか」
「シェリル・・・・」
「・・・あら、お兄様どうかした?」
「俺・・・お前が何度も転びそうになったのには別に理由があると思うんだ」
「別の理由?」


今にも頭を抱えそうな渋い表情のジョーカーにシェリルは自分の身体を
きょろきょろと見回し、不思議そうに首をかしげた。


「裾は結んであるし、靴は脱いで手に持ってるし・・・完璧じゃないの」
「いやいやいや、問題はそこじゃない。それ以前に『なんで冒険に出かける
のにドレスを着ているのか』ってところだろう」


シェリルが身に着けているのは真っ白なドレスだった。
ところどころに真紅のリボンと薔薇があしらってある、とても素敵なドレス。
両手に持っているのも、そのドレスによく似合う真っ白なパンプスだ。


「・・・似合わない?」
「いや、とても良く似合ってる・・・ってそうじゃないだろ。舞踏会に行く訳
じゃないんだぞ?」
「えぇ!?だってこのドレス、気に入ってるのにまだ一度も着てないんだもの。
死ぬかもしれないなら着ておかないと損しちゃうじゃない!っていうか、お兄
様こそ死ぬかもしれないってのに、その格好は何?」


大好きなドレスを咎められたシェリルが反撃に入る。
ジョーカーの服装は黒の上着に黒のカットソーに黒のパンツという、闇夜に
人目を忍んで動くにはものすごく合理的と思われる格好だ。
だがそんな合理性がシェリルに通じるわけがない。


「え。闇夜に人目を忍ぶなら黒尽くめに決まってるだろう!?」
「・・・泥棒に入る訳じゃないのよ?いいの?もし死んだら『ジョーカー王子
の最期は黒尽くめ泥棒のような格好だった』と未来永劫伝えられるのよ?それ
で後悔しないの?」
「いや、それは・・・」


じとり睨まれ、その迫力に反論を試みたジョーカーが思わず怯む。
シェリルの言ってる事は何かがおかしい・・・とは思うものの、変に説得力を
帯びているせいで反論につまる。

実用性をとるか、誇りをとるか・・・。

ジョーカーが即答できずに思わず助けを求めるような視線をGに送れば、
それまでこのやり取りを背後で黙って見守っていたGがやっと口を開いた。


「ぼっちゃまの気持ちもお察しいたしますが、ェリル嬢ちゃまの言い分
にも一理あるとGは思います。すぐにお着替えをご用意いたしますので、
お着替くださいませ」
「じぃちゃんまで・・・」
「大変申し訳ないことに、Gもいつもの燕尾服でございます。これは執事
としての誇りでございますので・・・。その執事が主よりもよい格好をして
いたとなれば、シェリル嬢ちゃまの言うように不名誉となりますでしょう」


にっこりと微笑みGが口にした言葉にシェリルは勝利の微笑みを浮かべ、
ジョーカーは深いため息を吐いてGを伴い、着替えをすべく隣のベッドルーム
へと入った。

Gがクローゼットを開け、一番奥に隠すようにしまわれていた衣装を取り出し
ベッドの上へ並べていく。

それはこの国の王子として着ていた正装だ。
もう二度と着る事などないと思っていた服。
まさかこんな時にまたそれを着る事になろうとは・・・。

複雑な表情でそれを眺めるジョーカーにGは声をひそめて口を開いた。


「Gはここまでぼっちゃまよりほんの少し長く生きておりますが、ほんの
少しだけ多く知っていることがございます」
「?」
「ご婦人のお召し物に関しては決して褒め言葉以外や否定的な事を言っては
なりません。・・・でないと結果的に自分の首を絞める事となります」
「・・・それ、もっと早く聞いておけばよかったな」


Gの言葉にジョーカーは苦笑いを浮かべ、着ていた真っ黒な上着を脱ぎ捨てた。






☆.。.:*・゚☆.。.:*・゚☆ ☆゚・*:.。.☆゚・*:.。.☆ ☆.。.:*・゚☆.。.:*・゚☆



明けましておめでとうございます!!

親戚一同が押しかけてくる地獄の正月を無事に乗り切れたことに
安堵しているロゼです;

毎年のことですが、もうどこの仲居さん?ってくらいハードでございました。

Secret Gardenで一年を締めくくり、Secret Gardenで一年の幕開けです(笑)
前回がすこ~し重めのお話だったので、今回はちょっぴり軽めに・・・。

深刻で真面目な話ばっかりでも、おちゃらけばっかりでも飽きてしまうので
上手にどちらも取り込んでいければと思います。

こんな私ですが、去年同様仲良くしてくださいまし(*´ω`*)


また、今年からブログに来てくださってる皆様も、これから仲良くして
くださいね♪

今年もよろしくお願いいたします!





2009.12.31 *Thu

Secret Garden7

「おかえり、じぃちゃん」
「ただいま戻りました」


ノックをせずに部屋に入ってきたGが、ジョーカーに深く頭をさげる。
主の部屋にノックをせずに入れるのは、たくさんの使用人がいても
執事だけの特権だ。


「遅くなりましたが、信頼できる筋からの情報が手に入りました。本日の
国賓をもてなす宴は深夜過ぎまで続くようで、そちらの警備に塔の見張り
も一部回されていて通常の巡回よりも回数が減るそうです」
「好都合だな。で、時間は?」
「見回りの予定は1時間おき・・・というところまでは解ったのですが、
何時から1時間おきなのかは、上の命令によって変わるので、はっきり
わからないとの返事でございました・・・」
「それはいつも通りか」


兵士による塔の見回り時間は毎日変わる。
それは脱走の企てや外部からの進入をより強固に防ぐためのものだ。
変則的にすることで計画をたてるのは難しくなる。


「兵士を油断させる意味でもディナーやバスタイムなんかは通常と
同じにした方がいいな・・・となると、22時から祝宴が終わって
兵士達が戻ってくるまでが勝負か」
「22時を過ぎて、巡回が過ぎた後に出発という事でいかがでしょうか」
「そうだな・・・とりあえず地下に一番近い俺の部屋に集合しよう」
「かしこまりました。シェリル嬢ちゃまにもこれからお茶をお持ちいた
しますのでその時にお伝えいたします」
「うん、頼むよ。それと、じぃちゃん・・・」
「どうなさいました?」


こんな風にジョーカーが言いよどむのは珍しい。
Gはお茶の準備をしようと踏み出した足を止め、ジョーカーに向き直った。


「本当に・・・一緒に行っていいのか?招待状にもあったように命を
落とすかもしれないのに・・・。もし残りたいと思うならじぃちゃん
が罪に問われない様に今ここでじぃちゃんを解雇して他国の貴族の友人に
紹介状を書くよ。そうすればさすがにデイジー女王も手出しできないし、
じぃちゃんは自由だ・・・」


一緒に行って欲しいのは山々だ。
ジョーカーにとってGは替えの利くただの執事ではなく、妹のシェリル
以外で唯一信用できて本音を言える大事な存在。
後がない自分やシェリルとは違うGに『命を落とすかもしれないけど
着いてきてくれ』なんて言えるはずがない。

だが小さい頃からずっとジョーカーを見てきたGにはジョーカーのその
気持ちが手にとるように解った。
いつも話しをする時はまっすぐに目を見て話すジョーカーが視線を外した
ままだ。
こういう時は大抵自分の本心を隠して無理をしている時。
それは幼少時からまったく変わっていない。


「ぼっちゃま、Gは今までお傍についていてとても幸せでございました。
この塔に来ると決めた時同様、今も迷いはございません。Gの望みは死ぬ
その瞬間まで、お二人のお傍でお世話をさせていただく事です。そのぼっちゃ
まとシェリル嬢ちゃまが居なくなったこの世界に残って多少生きながらえた
としてもGは幸せではございません」
「じぃちゃん・・・」
「幸いGには他に家族と呼べるものもございませんし、人生最後くらい
ずっと仕えてきた主と未知の世界を目指す冒険をしても罰は当たらない
と存じます」
「・・・・・」


Gの優しい言葉にジョーカーの胸がいっぱいになる。


「・・・じぃちゃん」
「はい」
「ありがとう・・・」


ジョーカーの言葉にGは嬉しそうに目を細めた。





☆.。.:*・゚☆.。.:*・゚☆ ☆゚・*:.。.☆゚・*:.。.☆ ☆.。.:*・゚☆.。.:*・゚☆


結局年末の忙しさで旅立つところまで書けませんでした。
気づけばあっという間に大晦日でございます^^;

年内のお話更新はこれが最後です。
(大晦日に2本更新はさすがに無理なのでorz)

今年はシルバニアに嵌り、それを通して素敵なお友達が出来て、
素敵なお店に出会い、生まれて初めてのチャレンジも色々とできて
とても満ち足りた1年でございました。

また来年も仲良くしてくださいね♪

皆様も、よいお年をお迎えくださいませ(*´ω`*)ノシ



2009.12.30 *Wed

Secret Garden6

「・・・・・」
「・・・・・」


シェリルがこうやって無言で目をぱちぱちする時は大抵、話を理解できて
いない時だ。


ジョーカーはふぅ~・・・と息を吐き出し、小さな子に話して聞かせるように
静かな声で語りかけた。


「いいかい?シェリル。俺とじぃちゃんが今夜だと結論付けたのは、過去に
神隠しにあった人が消えたのが新月だったからってだけじゃない。それだけ
なら単なる偶然が重なったとも言えるからね」


ジョーカーの声にシェリルはコクコクと無言でうなずいた。


「2つ目の根拠は、オルドローズが魔女であるということだ。魔女の魔力は
月に大きく影響を受け、新月の夜がもっとも魔力が高まるらしい。そして、
3つ目の根拠が『歌』だ」
「歌?」
「そう、この国に伝えられてるオルドローズの歌」
「・・・招待状が届いたら 開けないで 煮て焼いてくっちまえ?」
「・・・だからその途中からの歌詞は一体どこから」


シェリルの言葉にジョーカーは激しく脱力し、がっくり肩を落とした。
だがシェリルがはっきりと覚えていないのも仕方がない。
オルドローズの歌は小さい子が手遊びで歌う歌だ。
赤ん坊の時からこの塔に閉じ込められ、シェリルの教育を行ったのは
ジョーカーとじぃちゃんのみ。
一緒に手遊びしてくれたり、小さい子の手遊び歌を優しく歌ってくれ
たりする存在はシェリルにはいなかったのだ。

もっとも、城で育ったとしても禁忌とされている『オルドローズの歌』
を城でシェリルに教える者がいたとは思えないが・・・。

時折塔の窓から子供たちの声が風にのって入ってくる事はあっても
はっきりと聞こえるわけではない。
それで恐らく、他国の古い毬つき歌と混じってしまったのだろう。


「シェリル、オルドローズの歌は正しくはこうだ・・・

『オルドローズの招待状が届いても 決して中を見てはいけないよ
 オルドローズの招待状は 二度と戻れぬ片道切符
 月の光の灯らぬ内に 暖炉にくべて灰にしよう』」
「月の光の灯らぬ内に・・・」
「そう、それが恐らく『新月の夜』を指していると思われるのさ」
「だから今夜なのね」
「もしかしたらそれは次の新月かもしれない。でも次の新月なんて
待っている間にデイジー女王によって、お前は他国に渡されてしまうだろう。
俺達に与えられたチャンスは今夜だけだ」
「それならゆっくりしてはいられないわね。持っていけるもの
も限られているようだし、部屋に戻って着替えと準備をするわ!」



再び勢いとやる気を取り戻したシェリルの言葉にジョーカーが深く頷いた。







2009.12.29 *Tue

Secret Garden5

「で、お兄様。その招待状にはなんて書いてあるの?」
「・・・見てみるか?」


そう言ってジョーカーは招待状を封筒から取り出すとシェリルへ
差し出した。
シェリルがそれを受け取ってカードを開き、声に出して読み上げる。


「『注意事項』・・・①荷物は身につけられる程度のものだけ。
②部屋は綺麗に片付けず、誰にも別れの挨拶をしない。
③同行できるのは試練を一緒に乗り越える覚悟がある者だけ。
④試練の中で命を落とす事も考慮されたし。
⑤半端な覚悟で望むべからず。
⑥道は地の底に開かれる
以上・・・幸運を祈る」
「・・・」
「・・・何この招待状。時間もはっきりした場所も書かれてないじゃないの」
「ああ、ただ・・・ここで『地の底』って言ったら塔の地下しかないから、
その辺は場所を特定しやすくて助かるな。今じぃちゃんが塔内の見回りの時間
を調べてくれてる。それと日付は恐らく今日、陽が落ちてからだ」
「どうしてそうわかるの?」

不思議そうに首をかしげるシェリルにジョーカーは先ほどまで読んでいた本を
指差した。


「あれはさっきまで読んでいた本ね。何が書かれているの?」
「う~ん、本と言うのはちょっと違うかな。これはある人の日記さ」
「日記?」
「そう、おそらく俺たちと同じようにオルドローズからの招待状が
きて、その招待を受けた人のね。もっとも表向きは『神隠し』って
なってるようだけど。ほら、ここを見てごらん。最後の日の日記だ」


ジョーカーが開いたページをシェリルが覗き込めば、そこには
3行程の短い走り書きがされていた。


『とうとう届いた。
 今夜は新月だ・・・私は行く。
 神が私を呼んでいるのだ』


「・・・届いたのはオルドローズの招待状って事ね」
「他にもオルドローズが関わっていると思われる失踪者の資料を昼間
じぃちゃんと調べたんだけど、その神隠しとされている失踪は全て新月
に起こっているんだよ。そして今夜がその新月なのさ」


ジョーカーの自信に満ちた結論にシェリルは目をぱちぱちと瞬いた。





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Rose' (ロゼ)

Author:Rose' (ロゼ)
 
ただの薔薇マニアです…。
 
シルバニアファミリーをベースにして
+アレンジを楽しんでいます。

真夜中のシルバニアは大人の密かな
楽しみなのです☆













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